2023年は4,500人の億万長者がドバイへ移住

Henley & PartnersのPrivate Wealth Migration Report 2023によると、ドバイ/UAE(アラブ首長国連邦)は、世界中の富裕層にとっての避難所として名高く、今年だけでも4,500人の新たな億万長者を引き寄せると想定しています。
4500 Millionaires Moving To Dubai
HNWIとは?
HNWIは、「High Net Worth Individual」の略語で、日本語では「高純資産価値個人」などと訳されます。HNWIは、高い純資産価値を持つ個人を指します。(*純資産価値とは、個人の総資産から負債を差し引いた金額を指します。)
HNWIの定義は様々で、一般的には特定の金額以上の純資産価値を持つ人を指しますが、具体的な基準は国や業界によって異なります。通常、HNWIは高額の金融資産、不動産、投資、事業などを保有し、その資産を適切に管理・運用しているとされます。
HNWIは、財務アドバイザーやウェルスマネジャーのサービスを利用し、資産を最適化し、資産の増加や遺産の管理に関する専門家の支援を受けることが一般的です。HNWIは、富を保全し、増加させるために様々な金融商品や投資戦略を活用することができるため、金融業界や投資市場において重要なプレイヤーとされています。
大富豪の移住国トップ10

HNWIの移住者数に焦点を当てるこの報告書によれば、今年の大富豪の移住国トップ10は以下の通りです
- オーストラリア:5,200人
- アラブ首長国連邦:4,500人
- シンガポール:3,200人
- アメリカ:2,100人
- スイス:1,800人
- カナダ:1,600人
- ギリシャ:1,200人
- フランス:1,000人
- ポルトガル:800人
- ニュージーランド:700人
これらの国々は、今年大富豪の流入を見込んでいますが、中国、インド、英国、ロシア、ブラジルなどの他の国々は大富豪の流出国とされています。
UAEは富裕層ランキング第2位
国際的な富裕層ランキングを発表したGlobal Wealth Trackerと居住専門家によると、UAEはオーストラリアに次いで2位にランクインしています。
Henley & Partnersによれば、過去10年間、富豪の移住は着実に増加し、2023年と2024年にはそれぞれ世界全体で12万2,000人と12万8,000人に達すると予想されています。
UAE内の億万長者の移住に関して、Henley & PartnersのCEOであるJuerg Steffen博士は、「一般的に、富裕層の移住傾向は今年、パンデミック前のパターンに戻りつつあり、オーストラリアがCOVID-19の発生前と同様に純流入の首位に返り咲き、中国が過去10年間で最大の純流出国になるでしょう」と述べています。
専門家の意見
イスラム開発銀行研究所の経済調査・統計部長であるアレフ・スレマン博士は、HNWIの移住が移住先国に及ぼす影響は、単なる投資以上に乗数効果により拡大する可能性があると指摘しています。
スレマン博士は、「HNWIからの100万ドルがビジネスに投資されると、雇用が生まれ、現地生産者からの追加需要が生まれる可能性があります」と述べ、また、「一方、送金元国にとっては、貿易、外国直接投資、技術移転などを通じて送金の流れと国際的なつながりがあるため、機会損失は軽減されるでしょう」と述べています。
気になる日本
Henley Private Wealth Migration Report によると、日本からは2023年は300人の億万長者が流出すると想定されています。この数字は2022年の100人という数字から3倍です。
この情報だけを見ると日本人としてかなりの危機感を感じます。
おわりに
この情報から世界の富裕層の移住傾向がかなり変化していることがわかります。以前は富の中心であったイギリスと米国でした。しかし、イギリスからは今年3,200人の移住が想定され、アメリカに関しては富裕層が移住する国としてオーストラリア、UAE、シンガポールとランキングを落としつつあります。